2019年07月14日

本と大学と図書館と-9- 成果としての教室

本の紹介を交えて,大学と図書館と学生・教職員に,話題を広げます。
高等教育問題研究会・FMICS (フミックス) 会誌「BIG EGG」に連載

 住民として地域に暮らし,職業として教育に関わり続けていると,何を今更なことを考え,悩みます。高等教育とは何?図書館とは何?その成果は何???考えるほど,答えは逃げていきます。
 そんな時に観る映画が『幸せの教室』(2011年 99分 原題:LARRY CROWNE)です。トム・ハンクス(学生役)は,学歴がないことを理由に,勤めていたスーパーマーケットを突然解雇され,コミュニティ・カレッジに入学し,ジュリア・ロバーツ(教師役)の「S217(非公式の意見術)」を履修します。最初は,海軍での20年の厨房担当の経験を活かして,フレンチトーストのつくり方をスピーチしますが,73点の評価です。何回かの授業を経て,修了試験のスピーチでは「ジオグラフィ・ショー」(地理のお話)を,「ジョージ・バーナード・ショー」に繋げてA+の成績になります。
 軍艦で廻った世界の海を紹介し,ショーの格言「愚か者の脳みそは哲学を愚行へ,科学を俗説へ,芸術を衒学へと要約する。ゆえに大学教育がある」を導き,「ショーもスピーチ217(非公式の意見術)のような講義を大学で学んだのだろう」と教師を持ち上げ,臨席した学生部長とクラスの大喝采を受け,教師の心も射止めます。
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 冒頭,ガレージセールの隣人が,無料の大学パンフレットを売りつけようとします。その内容を見て入学に踏み切ります。そして,キャンパスに入ると,学生部長が話しかけてきます。スピーチ217では「人生が変わる」,「乾杯の挨拶から就職面接までの円滑な話法」と薦めます。クラスが10名にならないと開講されないらしく,あまり人気のない授業をプッシュします。どうやら,部長は,ジュリア・ロバーツに好意を抱いているようで,先生のサポートもしています。更に,部長の趣味である太極拳のサークルにも誘い,学生想いの熱心な管理職が印象的です。
 ECON1(経済学)の履修からは,不良債権化した自宅も処分し,クラスメートとバイク仲間になり,生活もファッションも一変します。
 自分も社会人大学院に通い,通信教育夜間スクーリングで幅広い年代の学生を教えつつ一緒に学んでいます。自分がトム・ハンクスとジュリア・ロバーツに重なる部分を実感する映画です。
 東欧人トム・ハンクスが,ジャズ演奏者のサインをもらいに米国を訪れて空港で足止めされ,そこで働く人たちとの交流が描かれる『ターミナル』(2004年 129分)も,ほっとする内容です。本と大学と図書館というテーマでは,『幸せの教室』が,大いにピッタリです。
長谷川 豊祐(はせがわ とよひろ)
(図書館笑顔プロジェクト/元鶴見大学図書館)

タグ:大学 図書館
posted by toyohiro at 10:05| Comment(0) | 日記
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